自己免疫疾患 患者はワクチン接種していいのか?
「膠原病で 投薬中だけど、ワクチン接種して大丈夫?」
これは、今現在多くの患者が抱えている懸念である。
米国リウマチ協会 (American College of Rheumatology) から発表された内容をご紹介する。
本記事は、接種を迷っている人、接種したいが不安が大きい方にお読みいただきたい。
接種すると決めた場合は、主治医とよく話し合い、鵜呑みにしないで、自分でよく吟味・検討することが大切だ。(直感もある程度大切)なぜなら主治医も人間なのでミスをするし、何より今回のコロナウイルスは医師にとっても前例のない未知数に溢れた話であるためだ。
あくまでも、基礎疾患がある人に対してワクチン接種を進めているわけではない。接種を受けるかどうかはあくまで当人の決断次第であることを念頭にお読みいただきたい。
米国リウマチ学会の ワクチンに対する見解
日本の帝京大 医学部 リウマチ・膠原病グループが、米国リウマチ協会の新たな見解 (2021年 4月28日発表) を、患者レベルでもわかる内容でまとめている。
主旨をざっくりとまとめると・・・
(米国リウマチ学会は、)
- 接種を推奨
- 1回目に重篤でない副反応が起きたとしても、2回目の接種を受けるべき
(言い換え:1回目にアナフィラキシーが起きなければ、2回目の接種を推奨) - なぜなら、リウマチ膠原病患者は、コロナにかかると一般の人よりも病状が悪化する可能性があるから
- ワクチン接種のリスクよりも、コロナにかかるリスク、病状憎悪リスクの方が危険度が高い
- ただし、免疫調整薬のため、ワクチンの効果が低い可能性はある
- 一部の薬は、ワクチン接種後に服用を一時的に止めるなど、調整が必要
主治医の指示を仰ぐこと
(例:メトトレキサート 、JAK阻害薬、アバタセプト、リツキシマブ、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、アセトアミノフェン、非ステロイド性消炎鎮痛薬)
*メトトレキサートは一時中止不可の場合がある
*アセトアミノフェンの中に、カロナールがあるので注意。接種後24時間は服用中止 - ステロイド 20mg 以上投与しているケースは、医師により判断が分かれる
(接種前にステロイドを減らした方が良いとする意見もある) - ステロイド 20mg 以下、および 下記は、服用の中止は提案なし
ヒドロキシクロロキン(プラケニル)
スルファサラゾピリジン(アザルフィジン)
レフルノミド(アラバ)
アザチオプリン(イムラン)
シクロホスファミド(エンドキサン)
カルシニューリン阻害剤(シクロスポリン、タクロリムス)
抗TNF生物製剤(例:シムジア、エンブレル、レミケード、シンポニー、ヒュミラ)
抗IL-6系生物製剤(例:アクテムラ、ケブザラ)
抗IL-1生物学的製剤(例:イラリス)
抗IL-17生物学的製剤(例:コセンティクス、トルツ)
抗IL-23生物製剤(例:スキリージ)
抗IL-12/23生物学的製剤(例:ステラーラ)
ベリムマブ(ベンリスタ)
免疫グロブリン大量療法
低用量グルココルチコイド(例:プレドニゾン、1日の投与量20mg未満)
米国リウマチ協会とは?
米国リウマチ協会 (American College of Rheumatology; 以下 ACR) は、1800年代前半にヨーロッパの様々な国で発足したリウマチに関する国内委員会が元となっている。
ACRの母体となる組織は 1928年に設立。関連する6つの組織を統合、1934年にACRへの改名を経て、現在に至る。関節リウマチなどが中心、1928年にマサチューセッツ総合病院に設立されたハーバード大学リウマチ科や、カリフォルニア州立大学サンフランシスコ など、全米の著名な医学部などでの研究や症例を扱う。
管理人の私見と体験: コロナは冗談ではない
日本では、コロナで亡くなったは少ない。コロナにかかった人に会うことも多いわけではない。(正確に言えば、日本政府がPCR検査の数を制限していたため、「コロナにかかったと自分で知っている人が少ない」だけで、罹患者は確実にもっと多い。)
長びく緊急事態宣言の中、外出自粛をしない人も増えた。堂々と海へ行ったり、パーティをしたり、フェスを開催する地方へ旅行し、その写真をSNSにアップすることも増えた。
しかし、あえて言う。コロナで、本当に人は亡くなる。
私の家族の中で、コロナの犠牲者が出てしまった。罹患してたった1ヶ月だった。家族はあまりにも急すぎる出来事に心が引き裂かれた。その時の家族たちの表情や声は今も忘れることができない。
映画やテレビの世界の話と感じている人も少なくない。しかしそれは違う。実際に 400万人近くの方が命を落とし、その家族の心は今も傷ついたままなのだ。
後遺症で 何ヶ月も苦しむ人もいる。
ワクチンを受けた後も感染対策を
ワクチン接種をした後も、マスクや消毒は必要である。なぜなら、自分がウイルスを保有し、拡散する能力は以前と全く変わらないからである。
「ワクチンを接種したら、コロナにかからない」というのは誤りで、実際は「コロナウイルスを自分でやっつける能力を(一時的に)持つ」だけで、口を開ければウイルスは飛散する。
最近は、マスクをしない人を街で見かけることも増えた。あごにのせているだけの人も多い。その人がワクチン接種を終わらせたのかどうか不明だが関係ない。
実際にワクチンが急激に進んでいる小国で、感染者・死者が増えているとの統計がある。
自分の「ちょっとだけ」という気持ちで、誰かの命を命を命を危険にさらしてしまうと自覚が必要である。近年、日本人は「自分ごと化」が苦手だと言われているが、是非一度あなたの隣の人が突然いなくなることを本当に想像してみて欲しい?あなたはそれでもマスクを外すことができるだろうか?
私たちが自由な生活を送る中、もう2年近くコロナ患者を救ったり、感染の驚異にあたりながら最前線でご尽力くださった医療関係者の方々のいのちと生活を救うことも忘れてはいけない。
また、私たちの小さな注意が、飲食店や旅行業などをはじめとして、コロナにより苦しい状況に置かれたビジネスに携わる方々を救うことにもつながる。
マスクは暑いし苦しいし、酸素不足にもなるので適度な管理は必要ではあるが、あともう少しみんなで隣人を思いやって過ごしていきたいと思う。