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いつかまた跳べるように|近藤 武春さん (秋田) EGPA闘病記

EGPA闘病記
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基本情報

近藤 武春 さん

近藤武春 (こんどう たけはる) さんは、コピー機やプリンター、パソコンなど 事務機器メーカーの修理をする エンジニア。体を動かすことがもともと大好きで、40代になると休日の朝はジョギングや筋力トレーニングに励むなど健康にも気を使いはじめていた。

2019年に入って 腹痛に苦しむようになった。小腸がむくんでいた。さらに両手足がしびれ麻痺してしまい、脂肪と筋肉が著しく落ちて 歩行困難に。内臓の生体検査などを経て、EGPA (好酸球性多発血管炎性肉芽腫症) と診断。1.5ヶ月の入院ののち 2週間の自宅療養を経て、仕事へ復帰した。

現在は、筋力回復のため 家でできる筋トレを欠かさない。いつか走れるようになることが目標。特技は、イラスト。

 

 

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EGPA 確定診断

性別
男性
確定診断時の年齢
47歳
確定診断日
2019年 5月
診断病院: 
中通総合病院(秋田県)
担当科
腎臓・リウマチ科
主な自覚症状
喘息、アレルギー性鼻炎、発熱、筋肉痛、手足のしびれ・麻痺、腹痛、体重減少 (15kg)
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EGPA 診断前のわたし

30代、急に鼻がつまり日常生活で鼻呼吸ができなくなった。しかし通院せず 市販の点鼻薬を使ってしのぎ、週末は息子のサッカーの応援で 各地に車で出かけていた。

2016年4月、突然 不整脈(頻脈)を発症。健康診断の心電図測定中だったため、隣接する中通総合病院へ 救急搬送された。(なお、めまいや息切れになど不整脈による症状は完治しておらず、現在も治療を継続中。)

2017年1月、風邪をこじらせ咳が長引き、喘息を発症。5月に発作で 呼吸困難 に陥った。苦しくて、足を一歩前に出したり腕を前に出したりすらできないことに恐怖を感じた。当時、肺年齢を測定した結果は 衝撃の87歳。泣きそうなくらい 本当にショックで、咳を我慢して病院に行かなかったことを ただただ後悔した。

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EGPA 確定診断までの道のり

2019年4月、お酒を飲むと みぞおちのあたりが少し痛むようになった。1ヶ月もしないうちに普通の食事でも長い時間強く痛むようになった。痛みがある間は全く動けず、横になって痛みが治まるのをただ待つしかない。だんだん食べられなくなって、少量のお粥やゼリー状の補助食品が精一杯となり 体重も減っていった

ゴールデンウィークが終わる頃には、手足が軽くしびれ、腿に筋肉痛のような痛みを感じるようになった。因果関係は未特定だが、不整脈の薬の副作用が疑われ服薬を中止し様子を見ることになった。

5月17日、腹部のCT検査により、小腸が浮腫 (むく) んでいることが腹痛の原因であることが分かった。さらに午後から仕事に戻りパソコンを操作していると、突然手首から先が萎れた植物のように“くたっ”となり、マウスを持てなくなった。特に左手の薬指と小指は感覚がなかった。自分の体の中で何が起こっているのか分からず動揺した。すぐに近くの救急で整形外科の医師に診てもらった。頸椎が疑われたが、レントゲンでは問題は見られず原因は分からなかった。

幸い車の運転はできたので、落ち着いてから自力で帰宅した。家の駐車場に着くと、今まで続く体の不調への疲れもあったのだろう、手足のしびれと麻痺というショッキングな現実と将来への不安が一気に込み上げ、声を出して一人泣いた。

翌日から会社を休み、かかりつけの整形外科でMRI検査などを受けたが、また原因不明とのことだった。5月23日、内科を受診。相変わらず原因や各症状の関連性は不明だったが、血液検査の結果で好酸球の値が異常に高くなっていることに注目した先生から、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の疑いがあることを告げられた。

5月30日、胃と十二指腸の内視鏡検査。生体検査で臓器内に好酸球が認められEGPAと確定した。この頃は水すらまともに飲めなかったため、体重は10kg以上落ち、全身の筋肉は空気の抜けた風船のようにしぼんでいた。脂肪が落ち、肋骨は浮き出て尻や腿も薄くなっていた。筋力も衰え、握力は9kg台まで落ちていた。トイレ以外は横になっていることしか出来ないほど体力が落ちていた。手足のしびれも依然強く、時々電気ショックのような痛みが走った。次の受診は1週間後だったが、これ以上の猶予は命に関わること本能的に感じていた。きっと1週間もたない…。入院を懇願し、翌日から入院することになった。

5月31日、入院。妻に車椅子を押されて院内を移動しなければならないまでになっていた自分の姿が情けなかった。一方、治療がはじめられることにホッとていた。

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EGPA 予後

点滴からプレドニゾロン(60mg)服用に変更。結果的に 退院までに 30mgにまで 減らした。また、免疫グロブリン大量静注療法を5日間実施。

入院治療により、最初の1週間で小腸のむくみが取れた。体重はさらに(トータル15kg)減っていたが、食事ができるようになり体力も少しずつ回復していった。時々手足に走る電気ショックのような痛みで眠れない夜も多く、痛み止め服用で対応したが、入院30日目くらいから落ち着いてきた。また入院中は、得意のイラストを書くことで気分転換をしつつ手のリハビリを意識した。

入院時、しびれる手足の悩みを表現したイラスト。EGPA経験者なら気持ちが分かると思われる方も多いはず。

いつでも退院可能となったときの問題は、血管炎により強く残った神経障害(しびれと麻痺)だった。病院でのリハビリでは限界があるように感じ、家での生活がより早く今までの生活に戻れると考え、2019年7月17日、退院。2週間の自宅療養の後、仕事に復帰した。

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日々のセルフケア

  • 腕立て伏せなどの自重筋肉トレーニング
    (低下した全身の筋肉回復のため)
  • 体を冷やさない
    (ふくらはぎから足首までを覆う岩盤浴効果等のレッグウォーマーがお気に入り)
  • 休息
    (とても疲れやすくなったため、休日はなるべくゆっくり過ごす)
  • 食事
    (低カロリーで満腹感を得るため、おからパウダーを食事に取り入れた)*おからパウダーって、例えばこんなのです

 

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メッセージ:EGPA診断を受けたばかりの方へ

ご自身の症状に愕然とし、聞いたことのない病名に受け止めきれないほどの不安を感じていらっしゃるかもしれません。「前向きにいこう!」と簡単に切り換えられるものでもありませんよね。

症状も人により様々で情報も少ない EGPA ですが、症状を抑えるための治療が行われています。少しでもひとつでも症状が良くなれば、きっと前向きになれると思います。

そして、EGPAになって感じたことがSNSの力です。病床でEGPAを検索し、同じ病気と闘っていらっしゃる方々を知った時はうれしかったですし、このようなコミュニティでつらい症状や治療内容を共有できることで 気持ちが楽になりました。社会復帰しても、見た目が『ふつう』であることから、周りに理解されにくいこともあるかもしれません。症状が再燃することがあるかもしれません。しかし、同じ病気と闘っている人たちの存在は よき理解者 となってくれます。

私自身『いつか走れるように、いつか跳べるようになる』と希望を持って治療しています。

どうせ時間がかかること。じっくりいこうと思っています。

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