2020年9月、情報更新いたしました
EGPA ( 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 ) の発症率・有病率
日本の場合:EGPAは、 6万人にひとり
日本総人口 | 126,500,000 | 2020年 9月 現在 |
EGPA受給者証保持者 | 3,401 | 2019年 3月 現在 |
年間発症数 | 100 | 2019年 6月 現在 |
出典:厚生労働省衛生行政報告例(平成30年度末/2019年 3月末 現在)
日本の総人口は、約 1億2000万人だ。
難病情報センターの最新データベースにあった、厚生労働省のデータ によると、EGPAの患者数は約 3,400人。(難病情報センターの病気の説明のページはアップデートされていない。EGPAの治療薬、ヌーカラを製造販売しているグラクソ・スミスクライン社の調べでは、 1,900人とも書かれている。)
なお、同じ自己免疫疾患の全身性エリテマトーデスは、6万人受給者がいるが、同じく希少性が高く指定難病となっている。その規模と比較すると、いかにEGPAが少ないかがわかる。
一方、毎年新たにEGPAを発症している人数は、100人ほどとなっている。
EGPA患者の総数を割り算すると・・・
- 日本総人口に対し、3.7万人に一人
- 日本総人口に対し、 0.00027%
- 日本総人口 100万人中、27人
となる。
参考:
総務省統計局|人口推移
難病情報センター|好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)
アメリカの場合: EGPAは 8万人にひとり
アメリカの総人口は約 3億2,000万人。EGPA患者数は下記である。
- EGPA患者数: 3,000~4,000人 (5,000人と書いてある資料もあった)
- EGPA有病率: 100万人に10~15人
4,000人で計算した場合、有病率は 8万人にひとりという計算になる。
自己免疫疾患は、アジアやネイティブアメリカンなど、アジア系の人種に多いと言われているよ。またアフリカ系の人種は、病気との共存率が低いとも言われているよ。
なお、ヨーロッパでは約 5,000人の患者がいると言われている。
参考:(英語)EOSINOPHILIC GRANULOMATOSIS WITH POLYANGIITIS (EGPA) OVERVIEW, glaxosmithkline pharmaceuticals, as of February 13, 2020
発症率・有病率 とは?
上記の数値をよく理解するために、そもそも言葉の定義をきちんと説明できるようになろう。下記は医療従事者向けではなく、一般患者向けにカンタンにまとめた説明だ。
よく「XX万人に一人の病気」という表現がある。国別・エリア・性別ごとに、患者の数を比較する際によく利用される。
この際、「発症率」の話をしている場合と、「有病率」の話をしている場合の2通りある。
発症率 とは
発症率は、本来 罹患率 (りかんりつ) という。発症率 とは、ある一定期間に病気を「発病」した患者数を、ある一定の人口数で割った数だ。
発病率は、膠原病のような一生お付き合いする超長期的な病気から、インフルエンザなど短期的な病気にも使用される。
「ある一定期間」は、月間または年間であることが多い。
有病率 とは
有病率とは、病気を「ずっと有している」患者数を、ある一定の人口数で割った数だ。
この統計指標は、「ある一定期間」ではなく、「XX年から」など長期的な統計数値を出すことが多い。
根治可能な病気であれば有病率は下がる。一方、膠原病のような一生涯続く病気では、一般的に有病率が下がることはなく、また、発病率(罹患率)が、有病率を上回ることがない。
絶対数
上記のような割合に基づく人数ではなく、純粋な数を表す場合は、絶対数(ぜったいすう)という。
上記の3点を踏まえて、もう一度、統計数を見直してもらえると、EGPAの希少性がさらに客観的に見ることができる。
知ってる医師ですら少ないEGPA
EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)は、希少難病(患者数が少ない病気)の中でも、さらに件数が少ない。英語では”extremely rare” と表現されている。
診断が難しいEGPA
アメリカのトップドクター2019にも選ばれた、アメリカ・コロラド州デンバーにある National Jewish Health病院 呼吸器専門医のウェクスラー教授 ( Michael E. Wechsler, MD )によると、EGPAの診断ができる医師は非常に少ないという。理由は下記だ。
- 症例数が少ない
- 患者により症状がバラバラ
- 文献や論文が少ない
- 研究者が少ない
日本でも、「あ〜、国家試験の時に教科書に出てきたかも。。。」という医師が結構多い。
言われるたびに、真剣度が低く感じられて、若干イラっとしたよ(笑)
そもそも好酸球自体がメジャーじゃない
ウェクスラー医師によると、そもそも多くの医師が、好酸球についてよく知っているわけではない、という。好酸球は、本来、寄生虫など外部の異物を攻撃する白血球細胞である。内科医・外科医ともにその名前を知っている医師は多いが、詳細となるとかなり専門的になるようだ。ましてや、それが自己免疫疾患の原因になるとなると、かなり厳しいようだ。
日本の病院で、「好酸球」の漢字を書けない(忘れていた?)医師(教授)がいたよ。専門外となるとそんなもんなんだね。
「医師なら誰もわかる」という固定概念が全く通用しないのがEGPAです。
まとめ:EGPAは超希少難病で、診断もとても難しい
EGPAは 6万人にひとりしかいない大変珍しい病気だ。(2019年現在)日本だけでなく、医療先進国アメリカ・ヨーロッパでも非常に難しく、また診断できる医師は大変少ない。
患者同士の助け合いや情報交換は、非常に困難である。
当ウェブサイト『好酸球さんとEGPA』では、各種ソーシャルメディア(Facebook、Twitter)で更新情報を発信している。「いいね」をすることで、自動で更新情報を受け取ることができる。
Facebook公式
Twitter公式
Tweets by EGPA_info
また、Facebookで患者コミュニティも運営している。
ぜひご参加ください。