基本情報
庄子 聡 (しょうじ さとし) さん
音楽活動・家庭・仕事で充実した生活を送っていた庄子さんは、40代の頃から蓄膿症やアレルギー性鼻炎に悩まされていた。50代に入ると喘息を併発。2019年4月、東京都内の病院で EGPA(好酸球性多発性血管炎性肉芽腫症)の確定診断を受けた。
障害者手帳(4級)を取得しつつ、治療開始後1年未満で、自動車の運転再開・音楽活動への復帰を達成する。2020年1月より復職予定。
個人ブログ:
EGPA 確定診断
性別 |
男性 |
確定診断時の年齢 |
58歳 (現在 64歳) |
確定診断日 |
2019年 4月 |
診断病院: |
東京都内の病院 |
担当科 |
アレルギーリウマチ内科 |
主な自覚症状 |
副鼻腔炎(蓄膿症・アレルギー鼻炎)・喘息・悪寒・筋力低下・手足のしびれや激痛 |
EGPA 確定診断前の症状
40代の頃は、蓄膿症 および スギ・ヒノキ・ハウスダストをアレルゲンとするアレルギー性鼻炎 がありながらも、家族・仕事・趣味の音楽活動を楽しんでいた。
2011年 1月頃 喘息を発症。特に風邪の時、咳や鼻水がひどくなった。さらに2015年頃から匂いがわからなくなる症状が加わった。なお、2017年3月の人間ドックの結果報告書に「好酸球がやや高値」「喘息・鼻炎・アレルギー」の記述があった。(当時は気にとめていなかったが、これはEGPAの初期症状を示唆)
2018年秋、喘息と咳・鼻水が悪化。かかりつけ医の治療に限界を感じ、総合病院の呼吸器内科を受診し、CT・血液検査などを受けた。特に異常が認められないとのことだが、専門医の受診を勧められる。
2019年の年明け、呼吸器クリニックにて 血液などの検査と丁寧な問診を受けた。「まず喘息と鼻水の原因と思われる副鼻腔炎を治療し、その後 喘息の継続的・抜本的な治療を行う」とのことで、抗生物質と吸入薬(シムビコート)による治療を開始した。咳・鼻水の症状は1月末頃には落ち着いた。
一方、1~3月は仕事と音楽活動が立て込んでいた。疲労を覚えつつもどうにかこなしていた。しかし3月中旬、発熱と倦怠感のため、2週間会社を休んでしまった。
3月末 体調が回復し出勤するも、結局早退。帰宅の途中、通勤リュックを重く感じ、歩行もしんどく、寒気も覚えた。ベッドで休んでいても、スマホを手に取るのも重く、腕に筋肉痛も現れていた。
かかりつけ医にかかったが、発熱と筋力低下について「大きい病院に行ったほうが良いかも知れない」と言われた。帰宅するも、体のあちこちが痛み始め、深夜には手足にしびれや麻痺も生じた。激しい痛みで眠れなかった。
EGPA 確定診断時の状況
2019年4月2日早朝、タクシーで近所の総合病院に向かった。どの診療科目に行くべきか窓口に相談したところ「内科総合受付」を案内された。(もしこの時、麻痺にだけ着目して整形外科を受診していたら的外れな検査で時間を空費していたかも知れない)
血液検査の結果、好酸球が70,000以上を示していることが判明し、内科医がほぼつきっきりで対応してくれた。症状からはギランバレーも疑わしいが、好酸球が異常に多いことから寄生虫や白血病の可能性もあるとのこと。さらに、レントゲン・CTで脳や心臓、肺などの臓器の異常の有無の診断を一通り行った後、血液内科がある都内の病院への緊急入院が決まった。
入院後の数日は、MRI・CT・神経伝達検査などの様々な検査が続く。一方、とにかくひどい痛みを取り除く治療をして欲しいと医師に訴えるも、「病気を確定しないことには治療を始められない」と言われた。
入院4日目、「チャーグ・ストラウス症候群の可能性が高い」と、病名を初めて告げられた。早速、この聞き慣れぬ病名についての情報をネットで調べまくった。(この時点ではまだ他の病気の可能性も捨てきれないため、ステロイドパルスやエンドキサンパルスなどの強い治療は行えない)その後、皮膚生検(両脚から皮膚組織を採取)の結果、血管への好酸球浸潤が認められ、EGPAの確定診断に至った。
初期治療として入院5日目からプレドニン 60mg の経口投与を開始する一方で、「この病院にはEGPAの治療体制がない。大学病院と連携を取りながら検査と初期治療を進める。大学病院のベッドが空いたら転院して専門治療を受ける」との説明を受けた。
入院17日目、大学病院に転院。翌日からステロイドパルスを開始。すぐに麻痺していた右手が少し動くようになり、痛みも消えた。その後、エンドキサンパルス・免疫グロブリン療法 (IVIg)・ヌーカラの治療を受けた。(計6回)
ここまでの治療で好酸球はほぼ0になったがCRPがまだ6程度あった。血管炎による炎症以外の可能性を消すため、PET検査・4種類の内視鏡(胃カメラ、大腸カメラ、カプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡)による検査を受け、小腸に潰瘍が発見された。免疫抑制の影響によるサイトメガロウィルス感染症の疑い。デノシン点滴による治療を3週間受けた。
EGPA 予後
体に不自由さはあるものの、健康時とほぼ同じ日常生活を送っており、現在自宅療養中である。食事制限もない。
寝入りばなに、強い体のかゆみがある時があるが、薬の副作用かどうか不明。睡眠不足時や長時間パソコンをさわった後、疲れがある時などに、頭痛やめまいがある。紫斑は2019年9月以降出現なし。
多発性単神経炎(感覚異常・麻痺)は強く残っている。手に関しては、指先(特に両手の親指・人差し指・中指)の感覚が鈍いが、フルートの演奏が可能なほどに回復した。
右足は膝から下、左足は大腿部(外側)膝下(外側)足首にかけて感覚が鈍い。2019年6月ごろから歩行器で、2019年8月以降は杖で歩行が可能となった。2019年12月現在は、左足首の背屈(足首を上にあげること)ができない。歩行時は装具を着用しており、障害者手帳(4級)を取得している。
投薬 (2019年12月現在)
- ヌーカラ 1回/月
- プレドニン 11mg/日
- アザニン 100mg/日
- リセドロン・バクタ・エディロール・ネキシウム・ピタバスタチン・酸化マグネシウム
メッセージ:EGPA診断を受けたばかりの方へ
EGPAは、適切な初期治療をおこなうことで寛解にいたり、また、投薬を適切に継続することにより、寛解を維持し、普通の社会生活を送ることができる病気だと、主治医から聞いています。
病状には大きな個人差があるようです。特に感覚障害や機能障害については、時間をかけて根気よくリハビリを継続することが大切です。わたしの場合は、確定診断後半年ほどで歩行可能となり、自動車の運転を再開することができました。運転の再開にあたっては、免許センターで運転適性検査を無料で受けることたできるので活用し、またさらに自動車教習所で1時間の講習を念のため受けてから公道に出ました。
日々 体調の変化に気を配り、体調がすぐれないことも「病気のせい」と受け入れて生活することが肝要です。こうした病気との付き合い方については、SNSなどを通じて 同じ病の方々と交流することが、大いに励みとなります。
ヘルプマークや障害者手帳など、受けられる公的サービスはできる限り享受したほうが良いと思います。