そもそも 難病とは?
難病の定義
ざっくりいうと「原因不明の難治性の病」を指す。英語では、 an incurable disease という。incurable とは、untreatable… つまり、治らないという意味だ。。
もう少し具体的にいうと、2014年5月成立、2015年施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」(通称:難病法)にて、難病は、4つの条件が定義されている。
- 原因不明
なぜ発病したのか、根本原因がいまだに見つかっていないこと。 - 治療方法の未確立
抜本的な治療法が不明であり、寛解や再燃を繰り返すということだ。
対処療法で対応する。 - 希少な病気
珍しい病気という意味。 - 長期療養
根本原因や抜本的治療法がないため、難病は長期的に闘病しなければなりません。EGPAの場合は、ほぼ一生のお付き合いになるといわれている。
指定難病の定義
「指定難病」とは、国が医療費助成の対象としている難病 を指す。
上記の4つの条件に加え、下記2項目が、条件として加わる。
- 患者の数が、日本国内人口の 0.1% 未満であること
- 診断基準がはっきりと確立していること
日本の人口は、約 1億2,000万人なので、120万人以下の患者しかいないことが条件1を満たす。
例えば、EGPAが属する自己免疫疾患に、関節リウマチや全身性エリテマトーデス (SLE)という病気がある。いずれも原因不明の難病だ。
しかし、関節リウマチは患者数が全国で 600万人近くとなっており、指定難病の対象外だ。(悪性関節リウマチに認定されると指定難病になります。)SLEは、患者数が6万人近くであり、条件1を満たしているので、指定難病に制定されている。
EGPAは、患者数 3,400人程度 (2019年3月当時)であり、膠原病の中でも、希少性が非常に高い指定難病である。
なお、希少疾病は、英語では、a rare disease とか an orphan disease という。 orphan とは、みなしご(孤児)という意味。EGPAは、an incredibly rare disease の部類である。笑
指定難病 と 特定疾患 の違い
「特定疾患」ということばは、ちょっと古い
上記の 難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)が 2015年1月1日に施行されるにも医療助成制度は存在した。しかし、対象は 56疾患しかなかった。
当時は、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 (EGPA) は、56疾患に入っていなかった。つまり、国が定める医療助成制度の対象外だったのだ。(余談だが、名前もそっくりで兄弟病気である、多発血管炎性肉芽腫症 (GPA, 旧: ウェゲナー肉芽腫症)は、56疾患に含まれていた。)
この2015年難病法施行前の 56疾患が「特定疾患」である。今でも当時の名残で、お医者さまや患者間の会話では「特定疾患」と言ったりする。しかし、正しくは「指定難病」であり、EGPAは 特定疾患ではなく、指定難病である、といえる。
最新の受給者証にも「指定難病」という記載がある。
2015年、EGPAは初めて国の指定難病に
この難病法は、メリット・デメリットがあった。
メリット
- 対象疾患が拡大
56疾病 → 306疾病
デメリット
- 審査基準が厳しくなった
軽症者は対象外 - 個人負担額の引き上げ
低額・高額・重症などの設定
EGPA患者にとっては、大変なメリットがあった。対象疾患に選ばれたからだ。第一次実施分に入り、最も早く、医療支援が受けられるようになった。常に再燃や入院の心配を抱えているなか、受給者証を持っていることは、大きな安心感につながる。ストレスを減らすことも、大事な治療の一環だ。
現在、好酸球に関わる難病として、下記 3種が指定難病となっている。EGPA患者の多くは好酸球性副鼻腔炎を併発しているが、重複申請はせず、EGPAだけ申請するのが一般的なようだ。
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 (指定45)
- 好酸球性消化器官疾患 (指定98)
- 好酸球性副鼻腔炎 (指定306)
一方、既存の 56の特定疾患患者の方にはデメリットがあった。審査基準は厳しくなり軽症者は受給者証支給の対象外となった。全ては、難病法は 重傷者救済を目的としているため、とのこと。対象外となった軽症者は、15万人にもなった。
また、個人負担額もより厳格化・細分化され、になり、全般的に引き上げとなった。それでも対象疾患が増えたので、国の予算はもちろん増大されているのだが。
まとめ・考察
手続きのための検査や医師の専用診断書などはかなり時間がかかる。
また、申請書類に関しても多いので、もし患者をサポートしてくれる家族がいなかった場合、かなりの負担になる。
このあたり、もう少し はんざつさが軽減され、重傷者が治療に専念できれば良いなと思っている。