基本情報
アンジェラ・シュレーゲルさん
イギリス人の アンジェラ・シュレーゲル さんは、2020年 3月にコロナウイルス ( Covid-19 ) に感染。
同時に、心臓に致命的な機能不全を引き起こしていることが判明した。
さらに検査を重ねたところ、原因は、EGPA (好酸球性多発血管炎性肉芽腫症) であったことが判明した。
EGPA 確定診断
性別 |
女性 |
確定診断時の年齢 |
36歳 |
確定診断日 |
2020年 3月 |
診断病院: |
イギリス・ロンドン The Royal Brompton Hospital |
担当科 |
Dr. Pujan Patal 他 |
主な自覚症状 |
喘息 |
コロナウィルス 感染をきっかけに、EGPA確定診断へ
今回のEGPA闘病記は、イギリス・BBCニュースに掲載されていたEGPA患者の話である。
イギリスのウェスト・ロンドン在住、36歳のアンジェラ・シュレーゲルさんは、2年ほど、喘息症状を抱えて医師を転々としていた中、2020年 3月コロナウイルス に感染。その中で、無自覚であったにも関わらず命に関わる心臓の機能不全を発見。さらに、その原因が、 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 (EGPA) であったことを発見したのだ。
コロナウィルスにも感染しているため、面会は一切許されなかった。5週間の孤独なICUでの闘病を経て、現在は自宅へ戻っている。
(2020年) 3月22日、 コビッド (Covid-19) の症状が本当にひどい状態で、病院へ行きました。
シェルシー&ウェストミンスター(病院)へ行ったんです。
そして数日後、ICUへ移動し、さらに、ロイヤル・ブライトン(病院)へ移送されました。
ロイヤル・ブライトンで治療を受ける中で、ある知らせを受けました。全然予測していなかったんです。
その内容は、私が めずらしい自己免疫疾患を抱えおり、さらにその疾患が心臓にひどく悪影響をおよぼしている、ということでした。
コロナウィルス : 心臓の機能不全を抱えた女性を Covid-19 が救った
彼女に何が起こったのだろうか?下記は、BBCニュース記事の日本語翻訳を記載する。
BBCニュース.com
Covid(コロナ)の医師が 未診断の心臓病にかかっていることを発見
コロナウイルス感染により結果として彼女の命は 救われる
5週間の入院中、誰も会えなかったことは 想像以上にとてもつらかった
アンジェラ・シュレーゲルさんは、コロナウイルスの症状がはじまった11日後に、病院へ入院した。
さらに、ロンドンのロイヤル・ブロンプトン病院で集中治療を受けている間に、彼女の心臓の問題は明るみに出た。医師によると、アンジェラさんの心臓は、すでに命取りな状態にまでなっていた。
36歳のアンジェラさんは、「自分の心臓がが本来あるべき状態で機能していないと言われた時、とてもショックでした。」と話している。
2020年3月22日、彼女は最初チェルシー・アンド・ウェストミンスター病院に運ばれた。スキャンにより、肺と心臓の周りに液体が溜まっていることが見つかった。
彼女はロイヤル・ブロンプトン病院へ移送され、心臓・関節・肺・神経などの体内のさまざまな臓器系に損傷を与える可能性のある病態である好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 (EGPA) と診断された。
ICU病棟にいることは 「 信じがたい圧倒的な経験 」
アンジェラさんは、喘息症状により、2年間、何度も通院を繰り返していたが、まさか自分の心臓に問題があるとは全く思っていなかった、と語った。
もし EGPA が診断されないまま放置されていたら、私はただ死んでいたかもしれない。
コロナウイルスは 私の体と心臓に多くの負担(ストレス)をかけていた。
それが、私のEGPAの進行を加速させた、と医師たちから聞いている。
長期的な目線で見れば、コロナウイルスは 私の命を救った。
しかし、短期的に見れば、コロナウイルスは 私を殺しかけた。
アンジェラ・シュレーゲルさんの回復は 病院スタッフを励まし元気づけた、とコンサルタントは話す
病院で5週間過ごしたアンジェラさんを「本当に素晴らしかった」NHSスタッフは語っている。
彼女のコンサルタントの1人であるドクター Pujan Patelは、BBCブレックファスト(イギリスの朝の情報番組)に、アンジェラさんの回復は、スタッフのやる気やモチベーションに「大きな影響」を与えたと語った。
「患者が両足で起き上がって笑うのを見たとき、それは途方もない影響を与える」とPatal医師は話した。
出典(本文一部・画像)
Coronavirus: heart condition woman says Covid saved her life, BBC News, May 5, 2020
考察
膠原病患者が コロナウイルス にかかるとどうなるのか?
これは今、世界中の膠原病患者が考え、そして怯えているトピックである。基礎疾患がある人は、注意せよと喚起されているが、数ヶ月経ってもソーシャル・ディスタンス ( 2メートル以上距離をあける)ことすら徹底できない日本社会。
我々自己免疫疾患を抱える者としては、毎日戦々恐々と過ごしている。
コロナウィルスは、免疫の異常反応を引き起こす?
EGPA患者の多くが、コロナウイルス の症状は、EGPAの症状に似ている、と感じている。EGPAは内的要因(自分の免疫が自分を攻撃する)ので、外的要因(コロナウイルス )とは異なるため、根本の原因は違う。
しかし、露出してくる症状は大変よく似ているのだ。
- 嗅覚・味覚症状
- 呼吸器不全(間質性肺炎など)
このつらさは、EGPA患者が何年も体験してきた症状なのだ。コロナウイルス の増殖を抑える可能性があるという ステロイド性の吸引器 オルベスコ を処方されている EGPA患者もいる。
他:海外のEGPA闘病記
嗅覚・味覚症状は、長引くほど脳がにおいを忘れて、食べ物は1時間以上噛み続けたガムのような感じだ。そのうちガス漏れなどの異臭を感知できないことから、日々の生活の中で徐々に不安とストレスを増してくる。
呼吸器不全は、まるでずっとプールの中で過ごしているような状況で、時々息をしないと苦しいが、器官に水が入ってむせる時と同じように、激しく咳き込む。
今回のアンジェラ・シュレーゲルさんは、無自覚の心臓の機能不全があったというので、本当に怖い話である。
なお、EGPA患者の中でダメージを受けることが致命的になるのは、脳・心臓が圧倒的に多いとされている。
EGPA とコロナウイルス という内外から攻撃を受け、大変な苦労をしたアンジェラさん。彼女の予後が少しでも早く健やかになるよう、心からお祈りをしたい。