EGPA患者が抱える、慢性的な気管支炎・ぜん息
EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)は、診断前も診断後も、慢性的な気管支炎・ぜん息を抱えている人が多い。その中で、ステロイド吸引薬は、生きていくのには欠かせない薬だ。
2019年12月、厚生労働省は 年に2度の後発医薬品の薬価を発表。その中に、「シムビコート」の後発医薬品「ブデホル」が収載されており、各製薬会社は発売開始している。
先発医薬品「シムビコート」
処方箋医薬品『シムビコート』は、
- ステロイド吸入
- 気管支拡張剤(長時間作用型)
1キット(個)あたり、30回吸入または60回吸入の2種類ある。
日本では もともと、アステラス製薬 と アストラゼネカ というイギリスの製薬会社が共同で販促活動していたが、2019年7月末にて終了。アストラゼネカ は、アステラス製薬が単独で行っていた流通網を移管されており、現在は単独で国内販売している。
世界で使われるシムビコート
英語表記は、 Symbicort®︎ で、発音は「スィンビコート」が近い。
なお、「ステロイド吸引」は “steroid inhaler (ステロイド・インへーラー)” という。
日本と同じ形もあるが、右図のようにちょっと違うものもある。吸引回数なども少々異なる。
サイト管理人も10年前アメリカ在住時から今もずっと利用しているシムビコート。世界でもぜん息やCOPD患者が利用している処方箋医薬品だ。
後発医薬品「ブデホル」
画像出典: 日本ジェネリック
東亜薬品と日本ジェネリックという2つの製薬会社がこの度発売した「ブデホル」は、「シムビコート」の後発医薬品であり、商品名を「ブデホル吸入粉末剤」という。
後発医薬品(ジェネリック)とは?
後発医薬品とは「ジェネリック医薬品」のことである。
先発品は、医薬品特許を取得する。ざっくりいうと、先発品を開発した製薬会社が、国ごとで専売権を得るわけだ。費用は高額となることが多い。なぜなら、研究費や認可にたくさんをお金と時間をかけるからである。
一方、後発品は、特許が切れるまで発売できない。特許は10年有効な場合も少なくない。特許が切れると、競合の製薬会社たちは、類似の効果が見込まれる医薬品を販売できるわけだが、すでに先発品があるため、費用や期間は大幅に縮小する。そのため、後発医薬品(ジェネリック)は、薬価は低く設定されることが多い。
膨大する医療費を抑えるために政府がジェネリックを推奨しているポイントはここにある。
なお、シムビコートの、日本の特許は、2019年3月に期限切れとなった。
薬価比較:「シンビコート」 vs. 「ブデホル」
薬価比較 (30吸引の場合)
30吸引の場合 | 1キットあたりの薬価 | 1回あたり |
シムビコート 30 | 3,047.7 | 101.6 |
ブデホル 30 | 1,250.1 | 41.7 |
薬価比較 (60吸引の場合)
60吸引の場合 | 1キットあたりの薬価 | 1回あたり |
シムビコート 60 | 5,935.3 | 98.9 |
ブデホル 60 | 2,348.4 | 39.1 |
後発品「ブデホル」の薬価は、先行品「シムビコート」の約 40%。30吸引の場合は、 薬価 1,797.6、60吸引の場合は、薬価 3,586.9 の差がある。
例えば、自己負担割合が3割の患者が、ジェネリック「ブデホル60」をした場合、あなたの出費は、3,586.9 x 30% = 1,076.1 となり、約 1,000円節約できる。
参考: 薬価サーチ
まとめ:医師・薬局に事前確認を
まず、主治医の了解が必要
さまざまな理由から、一部の後発品(特に発売直後のジェネリック)を勧めない医師もいる。新しい後発医薬品を希望する場合、念の為、主治医に確認しよう。
次に、薬局・薬剤部へ確認
なお、処方箋上は先発品名になっていても、患者が希望すれば、後発品ジェネリックへ変更は可能だ。
しかし、薬局で取り扱いがないと、ジェネリックを購入することはできない。その場合、薬局の都合だろうがなんだろうが、問答無用で、高価な先発品を購入する羽目になる。
そのため、「特定医療費(指定難病)受給者証」に記載のある薬局に事前に問い合わせ、取り扱いがあるか確認することをオススメする。
私の薬局では、取り扱い開始してました! (2020年2月)
もし取り扱いがない場合でも、今後取り扱いを検討してくれるケースもあり得るので交渉してみよう。どうしてもジェネリックを希望するにも関わらず、その薬局が取り扱わない場合、最悪薬局を変更することも選択肢としてあり得る。
公費負担でも、医療費を減らす努力をしよう
長期闘病の指定難病患者にとって、数千円の差が、数年後すごい金額の差となる。ご自身の財布はもちろん、国の財政も圧迫していることを忘れないように。
公費負担だからといって、むやみに高額な選択をしていると、受給者証廃止の可能性もでるし、さらには、自己負担割合も引き上げられる可能性もある。実際に、過去に自己負担割合が引き上げられた区分もある。
ぜひ医療費を減らす努力は、どの患者も惜しまないようにしよう。